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2005年11月18日号 [文科省初中局メルマガ]

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□ 初中教育ニュース      文部科学省初等中等教育局メールマガジン 
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□ │臨時増刊号│
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□ このメールマガジンは、幼稚園から高等学校までの初等中等教育中心  
■ に、教育改革を巡る様々な情報を迅速にお届けするため、新たに創刊
□ したものです。
2005.11.18
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□□□「高校分の地方交付税を移譲 自民党部会」の報道について □□□

                         藤原 誠〔財務課長〕                       
 本日、自由民主党の文教制度調査会・文部科学部会が「三位一体改革にふさ
わしい税源移譲改革の提案」を公表したことに関連して、一部に「高校分の地
方交付税を移譲」との見出しで報道がされているのが見られます。

 現在、義務教育費国庫負担金の扱いをめぐっての議論が進んでいますが、私
にとっては、高校の教育費についても、国庫負担制度こそないものの、重要な
関心事です。さっそく、自由民主党の提案を入手して分析しました。

 それによると、現在の地方交付税のうち、約8500億円に相当する額を地
方に税源移譲することにより、地方における地方交付税への依存度を低くし、
地方財政の自立を図ることとされています。その際、約8500億円の金額の
例示として、高校教育分相当があげられているものと思われます。

 この件に関する今後の取扱いは不明ですが、ご承知の通り、高校教育費は主
に地方税と地方交付税によってまかなわれています(そのほかに、高校には授
業料収入もあります)。今回の提案は、高校教育に係る基準財政需要額の積算
に変更を加えるものではなく、地方交付税よりも地方税の割合を増やすことで、
地方財政の自立度を高めることを目的としていると解されます。したがって、
高校の教育費確保には影響を与えないと思われます。

 この件については、本日、都道府県の教育委員会に連絡したところです。

 なお、今回の提案を受けて、急遽、過去の資料を調べた限りでも、次のよう
なものが見つかりました。ご紹介します。

(1)中教審の議論

 まず、今回の提案を受けて思い出したのが、中教審の義務教育特別部会での
議論です。
 6月19日の第21回の義務教育特別部会の議事録を読み返しました。そこ
では、横山委員が「実は、私も事務的にはかつて地方財政に関わったんですが、
かつて全国知事会の方でも、交付税を減らして地方税収を増やせというのは、
かなり強い声としてあったわけですね。今でも、多分、あるんだと思います。
だから、地方交付税という国の支出を減らして地方税収を増やせというのは、
今の時代においても、有益な議論だとは思っております」と発言されています。
 この横山委員の発言を受けて、石井委員が「それは否定しません。」とお答
えされています。
 したがって、地方交付税を税源移譲の対象にするということは、中教審でも
議論されているのです。そして、そのことについては地方六団体を代表された
委員も否定されていないのです。

 こうした中教審での議論を受けて、7月19日に義務教育特別部会がまとめ
た「審議経過報告(その2)」では、以下のとおり、地方交付税を地方への税
源移譲の対象とすべきである」との意見があります。

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 ウ 義務教育費国庫負担制度の在り方の検討に関する3つの観点
 【観点2:財源確保の確実性・予見可能性】
 b)税源移譲
  ○ これに関し、さらに以下の意見が出された。
   (略)
  ・ 法人事業税の見直しは、地方分権に逆行する。また「三位一体の改革」
   の要素の一つである地方交付税の改革も必要であり、むしろ、地方交付
   税を地方への税源移譲の対象とすべきである。
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(2)経済財政諮問会議の議論

 こうした問題は、中教審だけでなく、経済財政諮問会議でも議論されていま
した。
 平成14年5月21日の経済財政諮問会議では、片山総務大臣(当時)が
「地方財政の構造改革と税源移譲について(試案)」という資料を提出されて
おられます。そこでは「地方税財政制度改革の進め方」として「経済活性化等
に伴う税収回復、地方財政収支の改善を踏まえて、地方交付税を地方税へ振替
え」と明記されておられます。

 そして、平成15年の「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2003」
(いわゆる骨太2003)において「地方税の充実、交付税への依存の引き下
げ」が指摘されているのです。

(3)地方分権推進委員会の議論

 さらにさかのぼると、地方分権のあり方を議論していた「地方分権推進委員
会」でも、交付税から地方税の移譲が言及されていたのを見つけました。
 平成13年に、この委員会がまとめた最終報告では、税源移譲に関しては、
国庫補助負担金だけでなく、地方交付税も減額の対象になることが言及されて
いるのです。
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 第3章 第2次分権改革の始動に向けて
     -地方税財源充実確保方策についての提言-

 I 地方税財源充実確保の基本的視点
  1 地方税源充実への取組みに関する基本的方向
  (2)歳入面での自由度を増す観点から、地方税収入の割合を高めていく
     ことは、現在の国・地方を通ずる厳しい財政状況等を踏まえた観点
     に照らしても、必ずしも地方公共団体の歳入の量自体を増やすこと
     を意味するものではない。国・地方を通じた現在の租税負担率に制
     度的変更を加えない前提で地方税源の充実を行うためには、国から
     地方への税源移譲により地方税源の充実を図っていく必要があり、
     その際には、税源移譲額に相当する国庫補助負担金や地方交付税の
     額を減額するなどにより、歳入中立を原則とすべきであると考える。
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 こうしたことから分かるように、地方交付税を地方税に移譲するということ
は、昔からの課題として、関係者の認識にあったようです。

 いずれにしても、三位一体の改革と義務教育費国庫負担金をめぐる議論は、
今後も、政府、与党内で続けられ、最終決着は11月下旬になる見込みです。
以前も申しましたが、私は、義務教育費国庫負担制度の所管課長としての職を
賭して、制度の堅持に向けて引き続き励みますので、みなさんのご支援をよろ
しくお願いいたします。 

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□ 編集後記

 昨日発売された週刊新潮(11月24日号、36ページ)でこのメルマガが
紹介されています。
 最近、「隔週の定期号より臨時増刊号の方が多いのは何故ですか」との質問
をいただきました。臨時増刊号は、今号のように、読者の方に解説した方が良
いと思われる報道が行われた時などは、随時発行しています。今後も、タイム
リーな情報提供に努めたいと思いますので、周りの知人の方などにも、どうぞ
このメルマガをご紹介ください。(み)

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                  発行元 文部科学省初等中等教育局内
                      「初中教育ニュース」編集部   
                    TEL 03-5253-4111(内線2007)


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