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2005年12月22日 [文科省初中局メルマガ]

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□ ┌─────────┐         文部科学省初等中等教育局 
■ │初中教育ニュース │               メールマガジン
□ │     第19号 │  
■ └─────────┘
□  このメールマガジンは、幼稚園から高等学校までの初等中等教育中心  
■ に、教育改革を巡る様々な情報を迅速にお届けするために発行しています。
2005.12.22
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[目次]
・ 巻頭言
・ 教育改革の動き
   ○「規制改革・民間開放の推進に関する第2次答申」について
   ○平成18年度初等中等教育関係予算案について
   ○(海外事情:イギリス)来年度から義務教育費が全額国庫負担に
・ トピック解説:「教育の情報化」の現状及び文部科学省の取組について
・ お知らせ:キャリア・スタート・ウィーク・キャンペーン始まりました
・ コラム:まえかわの「ま、え~か」  
・ 編集後記
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□ 巻頭言
            初等中等教育局参事官(産業教育・情報教育担当)
                             嶋貫 和男

 初中局メールマガジンをご覧いただきありがとうございます。

 第15回全国産業教育フェア東京大会が、11月26日(土)、27日(日)
の2日間にわたり開催され、盛況のうちに終了いたしました。多くの関係の皆
様の多大なご支援ご協力にあらためて厚く御礼申し上げます。

 このフェアは、将来のスペシャリストを目指す専門高校生が、日頃の学習成
果を競い合う「専門高校生の甲子園」とも言うべき全国大会です。全国の専門
高校生はもとより、中学生、その保護者の方々、企業関係者等々、多くの方々
のご参加をいただき、2日間で約3万人という、会場となった日本科学未来館
始まって以来の入場者数を数えました。ロボット相撲全国大会をはじめとする
各種の競技会や作品展示、ファッションショー、専門高校の生産物の販売など
を通し、多くの方々に、専門高校生の幅広い学習内容、その躍動感溢れる取り
組みを間近にご覧いただき、産業教育の魅力をしっかり感じとっていただけた
ものと考えております。

 準備から本大会まで、一人一人の熱意、仲間との友情によって築き上げてき
た専門高校生それぞれの姿に、私自身も熱い感動を覚え、専門高校に降り注ぐ
確かな明るい光を見たような気がいたしました。

 来年は、さいたまスーパーアリーナを会場として第16回大会を予定してお
ります。皆様方の一層のご支援・ご協力を賜りますようお願い申し上げます。       

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□ 教育改革の動き

★「規制改革・民間開放の推進に関する第2次答申」について
                         〔初等中等教育企画課〕

 21日、内閣府の規制改革・民間開放推進会議において「規制改革・民間開放
の推進に関する第2次答申」が取りまとめられました。
 この答申には、初等中等教育行政に関係する内容が含まれますので、今回、
その経緯とともに主な内容を紹介したいと思います。

 今回の答申を巡っては、もともと文部科学省と規制改革・民間開放推進会議
との教育制度に関する考え方等に大きな隔たりがありました。
 そのため、文部科学省では、この規制改革・民間開放推進会議の答申の取り
まとめに至るまで、計五回にわたる規制改革・民間開放推進会議・教育ワーキ
ンググループ側との意見交換を行い、また、答申の具体的な文面の調整段階に
入ってからも幾度も対面や書面の協議を行ってきました。
 遂には、12月19日には小坂文部科学大臣が中馬内閣府特命担当大臣と意見交
換を行った上で、今回の答申が取りまとめられた次第です。

 説明の前に、そもそも、この規制改革・民間開放推進会議とはどのようなも
のなのでしょうか。
 同会議のHP(http://www.kisei-kaikaku.go.jp/)によると、同会議は
「規制改革をより一層推進するため、平成16年4月、内閣総理大臣の諮問に応
じ、民間有識者13名から構成される」ものとなっています。その具体的な所掌
事務は内閣府本府組織令第四十条の三に以下のとおり規定されています
 一  経済に関する基本的かつ重要な政策に関する施策を推進する観点から、
  内閣総理大臣の諮問に応じ、経済社会の構造改革を進める上で必要な次に
  掲げる事項を総合的に調査審議すること。
  イ 国及び地方公共団体の事務及び事業を民間に開放することによる規制
    の在り方の改革に関する事項
  ロ その他の規制の在り方の改革に関する基本的事項
 二 前号に掲げる諮問に関連する事項に関し、内閣総理大臣に意見を述べる
  こと。
 また規制改革・民間開放推進会議令によると「会議は、その所掌事務を遂行
するため必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、資料の提出、
意見の陳述、説明その他必要な協力を求めることができる」ことになっていま
す。

 さて、肝心の初等中等教育関係の事項については、答申の「Ⅳ個別重点検討
分野の改革 2.教育分野」の箇所に記載があります。この部分はそれぞれの
事項について【問題意識】と【具体的施策】という構成になっています。
 この【問題意識】はあくまでも答申をとりまとめた規制改革・民間開放会議
側の問題意識です。なお、文面の協議の際には、この【問題意識】の記述につ
いても、文部科学省から修正意見を提出しておりましたが、その意見は受け入
れていただけませんでした。
 一方、【具体的施策】の部分は文部科学省も合意している内容で、「具体的
施策について、最大限尊重する」旨の閣議決定が22日になされております。
 具体的には、
 ○免許状を有しない社会人を含む多様な人材の更なる確保・活用
 ○児童生徒・保護者の意向を反映した教員評価制度・学校評価の確立
 ○学校選択の自由の徹底
などについての記載があります。
 答申全文については以下のURLに掲載されておりますので、ご覧ください。
http://www.kisei-kaikaku.go.jp/publication/index.html

 また、今回のメルマガでは、特に、先方会議側と大きな意見の隔たりがあり
新聞報道やテレビ等でも取り上げられた「学校選択制」についてご説明したい
と思います。

 「学校選択制」については、「2.教育分野 (2)学校の質の向上を促す
学校選択の自由の徹底」の箇所に記載されています。
 規制改革・民間開放推進会議側の主張は、答申の【問題意識】にありますよ
うに、市町村教育委員会が「就学通知の前に児童生徒・保護者の意見を必ず聴
く仕組みを実現」し、その表題にあるように「学校選択の自由の徹底」を実現
することであると考えられます。
 この主張は、学校選択制の導入を全国的に義務付けることと同義であると考
えられます。

 これに対し、文部科学省は上記の両大臣の意見交換の際も含め、学校選択制
を導入すべきか否かは、地域の実情を十分に踏まえ、各自治体が判断すべきで
あって、全国一律に義務づけることは適当ではないと一貫して主張してきまし
た。
 これは、義務教育の構造改革のため、「市区町村・学校の権限と責任を拡大
する分権改革を進める」ことが必要であると提言した先般の中教審答申の趣旨
も踏まえたものです。
 また、地域の一体性を重視し、地域コミュニティの中で子どもたちを健やか
に育んでいくという方針の下、慎重な検討を重ねた結果、学校選択制を導入す
るのではなく、通学区域制を維持した方がよいと判断している自治体もありま
す。
 現時点の学校選択制の導入状況については以下のURLをご覧ください。
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/17/03/05032405.htm
 学校選択制を促進する国の取組はこれまでも行ってきたところですが、都道
府県ごとの導入状況を見ると顕著な相違が認められます。これは学校選択制の
導入が可能な社会的条件や地域住民の意識、学校と地域の関り方についての考
え方など、市町村ごとの事情に大きな開きがあることを示しているものと考え
られます。
 このような状況を踏まえても、やはり学校選択制を導入すべきか否かは、各
自治体が判断すべきであって、全国一律に義務づけることは適当ではないと考
えられます。

 ただし、一方で、文部科学省としては、保護者の中に学校選択制を望む声も
あることや、学校選択制の具体の方法や効果等について自治体によっては未だ
十分に認識されていないところもあると考えられることから、【具体的施策】
に記載があるとおり、今後、平成17年度中に以下のような施策をとることとし
ました。
(1)学校選択制について
   ・好事例を集めた事例集を市町村教育委員会に配布する。
   ・それと同時に市町村教育委員会に対して学校選択制の導入の是非につ
    いて積極的な検討を求める。
(2)保護者が就学する学校の変更申立ができる現行制度について
   ・就学を指定する通知に変更の申立ができる旨を明記するよう省令(学
    校教育法施行規則)で規定する。
   ・いじめへの対応、通学の利便性、部活動等学校独自の活動等、就学す
    る学校の指定の変更が相当と認められる場合を、国としても例示しつ
    つ、予め公表するように市町村教育委員会に求める。

 一部の新聞報道等には、特に(2)についての施策を捉え「学校選択制を拡
大」との報道もありましたが、正確には、就学校指定の変更に関し、市町村教
育委員会に対して、国の例示も参考にしつつ、地域の実情に応じた理由を検討
いただき明確化しておくことを求めるものです。(もちろん、部活動等を理由
とした就学指定の変更は、市町村教育委員会の判断でこれまでも可能でした。)

 なお、答申の【問題意識】の欄には、小坂大臣以下文部科学省が一貫して主
張してきた「学校選択制の導入は各自治体が判断すべき」との主張が、「一部」
の意見として位置付けられています。また、文部科学省が今後取り組む上記
(1)~(2)の施策について「なお満足のいくものではない」と記載されて
います。この点は我々の主張の趣旨が伝わっておらず大変残念に思います。

★平成18年度初等中等教育関係予算案について
                             〔財務課〕

 平成18年度予算については、本年8月に文部科学省より財務省に対して概
算要求を行ってきたところでありますが、さる12月20日午前9:00に、
平成18年度予算の財務省原案が閣議決定されました。その後、財務省から文
部科学省に対して、当初内示として伝達されたところです。
 この内容は、文部科学省関係予算のうち、初等中等教育局関係予算としては、
前年度予算額と比べて、4,362億円マイナスの1兆7,877億円となっ
ています。
 このマイナスの主な要因としては、本年11月30日の政府・与党合意に基
づく措置などによる義務教育費国庫負担金の4,386億円の減額があげられ
ますが、義務教育費国庫負担金を除いた残りの予算を見ると、前年度と比べて
23億円の増額という内容となっています。
 その後、同日の夕刻に、財務省との事務折衝を重ねた結果、学校評価システ
ムの構築に係る予算のうち、当初内示では認められなかった「学校の第三者に
関する研究」の部分として、8,200万円が認められました。このことによ
り、初等中等教育局関係予算は、総額1兆7,878億円となります。
 初等中等教育関係予算としては、このほかには復活折衝事項がないことから、
24日に閣議決定が予定されている平成18年度政府予算案については、この
額で決定される予定となっています。
 主な概要は文部科学省ホームページに掲載予定です。

 さて、このたびの予算編成は、大変厳しいものでした。もともと、基礎的財
政収支の改善(収入と支出とのバランスをとること)という基本方針に加えて、
小泉総理の指示の下、国債発行額の抑制(30兆円以下に抑える)ということ
とも相まって、徹底した歳出の抑制と重点化・合理化が求められてきました。
 こうした状況において、新しい教育課題に対応するための所要額が認められ
たことは、安堵しているところではありますが、一方において、厳しい財政状
況下において認められた経費であるわけですから、これらの事業一つ一つにつ
いて、子どもや保護者あるいは国民に対する説明責任の重さも増してきたと感
じています。
 そのため、文部科学省はもちろんですが、教育委員会や学校におかれても、
子どもや保護者あるいは国民が何を求めていて、そのための明確な教育目標と
は何か、その目標がどの程度達成されているのか、されたのか、ということを
チェックする、その結果次の施策として何を行えばよいのか、といったプロセ
スが必要になってきます。
 来年度から、新たに学校評価や全国的な学力調査の実施のための準備経費が
認められているところですが、これらの事業についても、そういったことのプ
ロセスの一貫となるわけです。当たり前と言えば、当たり前ですが、学校教育
においても「PLAN-DO-CHECK-ACTION」のマネジメント・
サイクルの機能の強化が求められる、ということです。今後の初等中等教育局
の取組を見守っていただきますようお願いします。

★(海外事情)イギリスでは来年度から義務教育費が全額国庫負担になります

                    榎本 剛〔財務課教育財政室長〕

 イギリスの日本大使館から報告が届いたので紹介します。
 12月7日にイギリスでは、教育技能省と(地方財政を担当する)副首相府
が、2006年度の学校教育予算を発表しました。来年度から義務教育費の全
額国庫負担が導入されるというものです。
 ポイントは3つです。

(1)全額国庫負担のための新規予算「義務教育特定負担金」5兆3200億円
   が導入
(2)「義務教育特定負担金」は、地方交付税からの移管により実現
   (そのため地方交付税は87%の削減(4兆6600億円の減額))
(3)このほか、国の特定政策のための教育予算も5800億円増額

 以下で解説します(長いので、お時間のあるときにご覧ください)。

 イギリスでは、教育水準の向上が大きな課題です。その際、教育予算の在り
方も大きなテーマになっています。
 学校予算については、現在も、教育技能大臣が決める最低予算保障によって、
予算額が保障されていることになっています。来年度からは、それに加えて、
教育技能省が実際の予算として交付することで、学校予算の確実な確保を実現
させます。
 具体的には、来年度から「義務教育特定負担金」(DSG, Dedicated Schools
Grant)という5兆円を超える予算が導入されます。これで教職員人件費や学
校運営費などの学校の経常的経費がまかなわれます。「義務教育特定負担金」
を導入するための財源は、副首相府が所管している「地方歳入支援金」(RSG,
Revenue Support Grant)という地方交付税に相当する予算です。その結果、
地方歳入支援金は、5兆円近い減額となります。
 このほか、学力向上等のための特別な補助金も、合計6000億円近く増額され
ます。教員給与の増額などにも力を入れており、教育予算を拡充しているイギ
リス政府の意気込みがうかがわれます。

 その結果、イギリスの国から地方への財政移転額は2005年度と2006年度では
次のように変化します。

【イギリスの国から地方への財政移転額】
┌───────────┬──────┬──────┬──────┐
│           │2005-06年度 │2006-07年度 │(増減)  │
├───────────┼──────┼──────┼──────┤
│合計         │564億ポンド │621億ポンド │ 57億ポンド │
├───────────┼──────┼──────┼──────┤
│各省の使途特定補助金 │117億ポンド │412億ポンド │295億ポンド │
│ そのうちDSG     │  -   │266億ポンド │266億ポンド │
│ その他の教育補助金 │ 10億ポンド │ 39億ポンド │ 29億ポンド │
├───────────┼──────┼──────┼──────┤
│地方一般財源に対する │      │      │      │
│国からの交付金    │      │      │      │
│ 地方歳入支援金(RSG) │267億ポンド │ 34億ポンド │-233億ポンド│
│ 商業用不動産税(NNDR)│180億ポンド │175億ポンド │ -5億ポンド│
└───────────┴──────┴──────┴──────┘

(冒頭で「「『義務教育特定負担金』が5兆3200億円」と述べたのは、表の「DSG
266億ポンド」を1ポンド=200円で換算したものです)

 なお、このようなイギリスの制度変更は、中教審答申と同じ考え方に基づい
ています。
 答申は、義務教育の構造改革を提唱しています。それは、教育の実施に当た
っては市区町村や学校の権限と責任を拡大することとし、国はそのための財源
保障をすべきというものです。(答申5ページ)
 そうした考え方にたって答申は「本来は、義務教育費の全額保障のために、
必要な経費の全額を国庫負担とすることが望ましいと言える」(答申41ペー
ジ)と全額国庫負担を提言しています。
答申:
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/05102601/all.pdf

 最後に、中教審の義務教育特別部会で配付された資料のうち関連するものを
紹介します。

○第4回
 小松郁夫・国立教育政策研究所教育政策・評価研究部長の配付資料(イギリ
スの教育に関する全般的な説明とともに、全額国庫負担について紹介していま
す)
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo6/gijiroku/001/05032901/003.htm
○第13・14回
 土居丈朗・経済学部助教授の配付資料(義務教育費の全額国庫負担について
理論的に説明しています)
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo6/gijiroku/001/05060101/002_01.pdf
○第16・17回
 藤田委員の資料(イギリスの全額国庫負担化について紹介しつつ、我が国に
おける全額国庫負担化を提案しています)
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo6/gijiroku/001/05060701/s003.htm
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★ 審議会情報

 中教審に関する基本情報については、こちらをご覧ください。
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/index.htm
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□ トピック解説:「教育の情報化」の現状及び文部科学省の取組について

                 伊藤 嘉規〔参事官付情報教育調査官〕

 去る12月6日に、「学校における教育の情報化の実態等に関する調査(中間
調査)結果を公表しました。この調査は、平成17年9月末時点の学校教育の情
報化の状況を取りまとめたものです。

 政府は、日本が平成17(2005)年までに世界最先端のIT国家となることを目
指して、「e-Japan戦略」を平成13年1月に策定しています。この戦略に基づい
て教育分野でも、平成17年度までに全ての公立小中高等学校等のLANを整備する
こと等を目標として、これまで学校のIT環境の整備に努めてきました。

 しかしながら、今回の調査結果によると、
・校内LANの整備率は50%にも達しておらず(目標100%)、
・また教育用コンピュータ1台当たりの児童・生徒数は7.6人(目標5.4人)、
・コンピュータ等のITを用いて教科指導ができる教員の割合も74%(目標100%)
にとどまっています。
 今年度中の目標達成は極めて厳しい状況です(数値は全て全国平均)。

 現在、「情報化」の波はあらゆる分野に及んでおり、教育分野もその例外で
はありません。各教科でITを活用することは、「わかる授業の実現」に資する
ものですし、児童・生徒には、情報社会に主体的に対応する力、「情報活用能
力」を身につけることが求められています。そして、このような授業を実現す
るためには、コンピュータなど学校のIT環境を整備することや教員のIT指導力
の向上を図ることが不可欠です。

 そこで、小坂文部科学大臣は、12月6日に「教育の情報化の推進のための緊
急メッセージ」を発し、文部科学省として、整備主体である地方公共団体の目
標達成に向けた取組をあらためて強く促すとともに、「教育の情報化の推進の
ためのアクションプラン」を策定し、教育の情報化を「加速化」していくこと
としました。

 アクションプランは来年以降本格的に進めていく予定ですが、教育の情報化
の推進のためには、地方公共団体や教育関係者、保護者の皆さんのご理解・ご
協力が重要と考えています。

 そのため、施策の1つとして「IT活用促進キャンペーン」を計画しています。
これは、ITを活用した授業効果に対する理解促進を図るため、各教科の担当指
導主事や教員、教員を目指す学生等を対象として模擬授業等を行うものです。
皆様方には、積極的にご参加いただき、ITを活用した授業の効果や学校のIT
環境の整備の必要性などを考えるきっかけになればと思っています。ほかにも
「教育の情報化強化月間」など各種施策の実施を通じて、教育の情報化全般に
対する皆さんの意識改革を促していきたいと考えています。

 現行の「e-Japan戦略」の期間は残りわずかですが、文部科学省は、目標達
成に向けて全力で取り組んでいきます。そして、最終的には、教育の情報化の
推進に対する全国的な機運を盛り上げ、次期IT戦略へとつなげていきたいと考
えていますので、ご協力の程よろしくお願いします。

(関連資料は下記のHPアドレスにありますのでご参照ください。)
○学校における教育の情報化の実態等に関する調査(中間調査)結果
 http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/17/12/05120502.htm
○教育の情報化の推進のための緊急メッセージ
 http://www.mext.go.jp/b_menu/soshiki/daijin/kosaka/05120801.htm
○e-Japan戦略の目標達成に向けて-教育の情報化の推進のためのアクション
 プラン-
 http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/05120802.htm
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□ お知らせ

★キャリア・スタート・ウィーク・キャンペーンが始まりました!!

                            〔児童生徒課〕

 「キャリア・スタート・ウィーク」とは、子どもたちの勤労観、職業観を育
てるために、中学校において5日間以上の職場体験を行う学習活動です。文部
科学省では、平成17年度より、厚生労働省、経済産業省等の協力を得て、全
国の138の地域において本取組を開始しております。平成19年度までに全
国の公立中学校約1万校において実施することを目指しており、そのためには、
教職員のキャリア教育に対する共通理解はもとより、職場体験の機会の確保な
ど、社会全体、国民一人一人の協力が必要になります。

 このほど、文部科学省では、「キャリア・スタート・ウィーク」に関する理
解の促進を図るために、「キャリア・スタート・ウィーク・キャンペーン」を
展開することとしました。その一環として、去る11月30日、関係府省、経
済団体、地方公共団体、教育団体等の関係者に協力を求めるために、当該関係
者にご参集いただき、小坂文部科学大臣、馳文部科学副大臣のご出席の下、「
キャリア・スタート・ウィーク推進連絡会議」を開催いたしました。

 会議の冒頭、小坂文部科学大臣より、「自分の一生涯、自分の人生をかけて
本当にやりたい仕事についているかといえば、必ずしもそうではありません。
また、「ニート」、「フリーター」の増加等の状況を鑑みますと、そのような
人たちにチャンスを与えたり、職場体験を通じて、世の中の幅広い職業を選択
する能力を自分の能力として身に付ける必要性を感じています。このたびの1
週間の職場体験である「キャリア・スタート・ウィーク・キャンペーン」の幅
広い参加者をつのりながら、本来の趣旨である、職業につきやすい環境づくり
に向けた努力を重ねて参りたいと存じます。」とのご挨拶がありました。

 文部科学省としては、大臣のご発言にもありますように「キャリア・スター
ト・ウィーク・キャンペーン」への幅広い参加者をつのるため、パンフレット
やポスターの作成・配布や、その一層の推進を図るため来年度以降の11月に
「キャリア・スタート・ウィーク」の推進月間の設定など、国民への周知運動
を行うこととしています。なお、「推進月間」の名称及び「キャリア・スター
ト・ウィーク」に関する標語を現在公募しておりますので、ふるってご応募く
ださい。応募の方法やキャリア教育に関する詳細な情報については、文部科学
省ホームページをご参照ください。

 今後とも、文部科学省としては、これらの取組を通じ、キャリア教育を積極
的に推進してまいりますので、皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。

文部科学省ホームページ 「進路指導・キャリア教育について」 
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/career/index.htm

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○ 文部科学省で発行している他のメールマガジンへのリンク
 ★生徒指導メールマガジン(児童生徒課)
 http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/04121503.htm
 ★大学改革GPナビ-Good Practice-(大学振興課)
 http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/tokushoku/05060601.htm
 ★エル・ネットメールマガジン登録アドレス(参事官(学習情報政策担当)付)
 http://www.opencol.gr.jp/mm/
───────────────────────────────────
○ 初中局の報道発表資料はこちら
  http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/shotou.htm

 *メールマガジンの内容は文部科学省のホームページにも掲載しております
  のでこちらもご活用ください。
 http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/17/09/05092802.htm
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□ コラム:まえかわの「ま、え~か」 

学校選択制は万能か?

 規制改革・民間開放推進会議(以下「推進会議」)が出した今回の答申のう
ち、教員採用、教員評価、学校選択などの論点については、答申に先立って文
部科学省との間で厳しい折衝が行われた。特に義務教育における学校選択制を
めぐっては大きく意見が対立した。
 推進会議の基本的な姿勢は、「児童生徒と保護者には学校を選択する権利が
ある」という前提のもと、市町村に対して必ず学校選択制をとるよう義務づけ
るべきだというものである。文部科学省の考え方は、公立小中学校を選択制に
するかどうかは、それぞれの市町村が、地域住民の意向、地域社会の事情、学
校づくりの方針などに基づいて自主的に判断すべきことであって、国が一律に
決めるべきではないというものである。
 この問題は、規制緩和か地方分権かという問題だが、究極的には、公教育は
消費者主権原理と国民主権原理のどちらに基礎を置くべきなのかという問題に
帰着すると考えられる。すなわち、「小中学校は、個々の消費者が選好し満足
する教育サービスを提供しさえすれば、それでよい」と考えるのか、「義務教
育とは、国民の総意に基づく国づくりや住民の総意に基づく地域づくりを目指
して、将来の国家社会の形成者を育成する社会共同の営みだ」と考えるのかと
いう問題である。
 この二つの考え方のどちらをとるかによって、義務教育への民意の反映につ
いても二つの異なる方法がとられることになる。前者は消費者の「選択」によ
って義務教育に民意を反映しようと考えるのに対し、後者は住民の「参画」に
よって義務教育に民意を反映しようと考えるのである。学校選択制は前者の思
想を具体化する制度であり、教育委員会やPTAやコミュニティ・スクールは
後者の思想を具体化する制度であると言える。
 学校選択制が保護者や児童生徒の満足度を高め、信頼される学校づくりや競
争環境の設定による教育の質の向上に効果を持つ場合があることは確かだと思
う。しかし学校選択制が万能だと考えるのは誤りである。保護者の中には受験
に役立つ教科の授業ばかりを求め、家庭科や音楽、美術、体育の授業は要らな
いという者もいるだろう。特定の偏ったイデオロギーに基づく教育を学校に求
める保護者もいるだろう。差別や偏見が学校選択行動に結びつく危険性も否定
できない。学校選択制が学校を核にした地域づくりを困難にする場合も考えら
れる。
 公教育を完全に消費者の選択に委ねてしまうと、公教育の大事な部分が「選
択されない教育」として欠落してしまう危険がある。よき国民よき市民として
必要な資質を育む教育、道徳や公共の精神を培う教育、環境教育、国際理解教
育、人権教育など社会全体の利益に資する教育、そういう公教育の本質的な部
分が危うくなる可能性があるのだ。公教育は本質的に公共性・共同性を持つも
のであり、基本的には消費者主権原理ではなく国民主権原理とそれを分権化し
た住民自治原理に基づくべきものだと考えられるのである。
 学校選択制は、それぞれの市町村においてそのメリットとデメリットを十分
検討し、住民全体の意思に基づいて導入の可否を決めるべきものだ。国がこれ
を一律に強制すべきだというのは、それぞれの地域の実情を無視し、市町村の
主体性を阻害し、義務教育の公共性を破壊しかねない暴論である。

          前川喜平〔(まえかわ・きへい)初等中等教育企画課長〕
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□ 編集後記

 12月15日発売の週刊新潮で、このメルマガが紹介されていました。義務
教育費国庫負担金に関連した記事だったのですが、編集部としても、ちょっと
ビックリしました。
 また、12月17日付けの朝日新聞(朝刊)では、「教育の地方分権 地域
の覚悟と長期的視野必要」とのタイトルで、文部科学省・高等教育局の鈴木敏
之企画官の文章が掲載されていました。これも、義務教育費国庫負担金と地方
分権のあり方を考えるのに参考になると思い、ご紹介しておきます。
 
 一方、12月末に、『ポイント解説 中教審「義務教育改革」答申』(教育
開発研究社)という本が出版されています。この本では、文部科学省職員を含
め多くの執筆者が個別テーマについて寄稿しています。しかし執筆の一部には、
そもそも今回の中教審答申の趣旨や、100時間に及ぶ審議経過を理解してい
るとは、とうてい思えない内容が書かれていることを特に申し述べておきます。

 今年も残り数日となりました。この「初中教育ニュース」では、創刊以来、
多くのニュースを配信してまいりましたが、みなさんはどのような一年でした
でしょうか。ちなみに文部科学省内のアンケートでは、今年の10大ニュース
の1位は「三位一体改革で義務教育費国庫負担金、公立学校施設整備費などの
取扱いが決着(制度堅持を明記)」でした。
 今年の「初中教育ニュース」の発行は今号が最終号です。来年1月からは、
より多くの方に簡単にご覧いただけるよう、メール購読の登録が文科省HP上
で行えるようになります。教育委員会・教育関係団体等、これまで配信させて
いただいた方々へは引き続き配信させていただきますので、改めて登録の必要
はありません。

 今後もより有意義な情報をリアルタイムで配信したいと考えていますので、
引き続きご愛読のほどよろしくお願いします。

 それでは、Merry Christmas & Happy New Year!!

                  (「初中教育ニュース」編集部一同)
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初中教育ニュース---------------文部科学省初等中等教育局メールマガジン 
                                第19号
                 発行元 文部科学省初等中等教育局内
                    「初中教育ニュース」編集部   
                   TEL 03-5253-4111(内線2007)


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