2005年12月9日号 [文科省初中局メルマガ]
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□ 初中教育ニュース 文部科学省初等中等教育局メールマガジン
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2005.12.09
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・ 6日の第2回都道府県・指定都市教育委員会教育長会議について
・ 12/8(木)第53回中央教育審議会総会について
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□□□6日の第2回都道府県・指定都市教育委員会教育長会議について□□□
12月6日(火)に都内で「都道府県・指定都市教育委員会教育長会議」が
開催されました。
さる11月9日にも開催したのですが、そのときは、中教審の答申と三位一
体の改革をめぐる状況についての意見交換が議題でした。その様子は
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/17/09/05092802/008.htm
で御覧になれます。
今回は、11月30日にまとまった政府・与党合意の報告のほかに、さまざ
まな議題が取り上げられました。
まず会議では、小坂文部科学大臣からのあいさつがありました。
あいさつでは、広島市及び今市市における大変痛ましい事件について、犠牲
となられました被害者の方に対し、心からの御冥福をお祈りするとともに、御
遺族に対して心からの哀悼の意を表明しました。続いて、各教育委員会に対し、
地域の関係者と連携をとり、各学校において、子どもたちの安全確保について
万全を期していただきたい旨お願いしました。
その後、11月30日の政府・与党合意において、義務教育費国庫負担金の
負担率が、1/2から1/3とされることが決定をされたことについて説明が
ありました。
大臣からは、この決定は、(1)国の負担割合が1/2ではない点で、中教
審の答申とおりではないが、「義務教育費国庫負担制度を堅持する」と明記さ
れたことは重要である、(2)政府・与党での協議の経過を踏まえれば、1/3
という負担率は、さらに削減することのない恒久的な意味合いを持つと述べま
した。さらに、制度堅持の基本方針が決定されたことで、中教審答申の全体を
貫く大きな方向性を踏まえることができ、今後、義務教育の構造改革に安心し
て邁進できると考えられることから、今回、大変苦渋の選択として受け入れる
こととしたとの説明がありました。
この全文は、文部科学省のホームページに掲載されています。
http://www.mext.go.jp/b_menu/soshiki/daijin/kosaka/05120802.htm
つづいて、素川スポーツ・青少年局長から、幼児児童生徒の安全確保につい
て説明がありました。
また、銭谷初等中等教育局長から、(1)三位一体の改革、(2)11月14日
の経済財政諮問会議で機関決定された「総人件費改革基本指針」、(3)中教審
における特別支援教育を推進するための制度の在り方についての検討状況、
(4)「今後の教員養成・免許制度の在り方について」(中教審初等中等教育分
科会中間報告案)、(5)中教審教育課程部会の審議状況、(6)教育の情報化、
について説明しました。
最後に、大島文教施設企画部長から、三位一体改革に関する政府・与党合意
における公立学校等施設整備費補助金の取扱いと、今後の学校施設の耐震化の
推進方策について説明しました。
説明後に、出席者から(1)通級指導に係る養護学級の教職員定数の今後の
扱い、(2)三位一体改革における公立学校等施設整備費の取扱い、について
質問がありました。
それらについて、担当課長より(1)通級指導に係る養護教員の教職員定数
については現在加配教員として予算要求中であること、(2)公立学校等施設
整備費補助金については、170億円を廃止・減額することとなったが、その
うち税源移譲されるのは5割であること、また、耐震化推進の根幹をなす事業
については、引き続き国庫補助を行うこと、を回答しました。
また、3兆円の税源移譲による地方の財政運営への影響について質問があり
ました。藤原財務課長から以下のとおり回答しました。
「義務教育費国庫負担金の廃止をして税源移譲する場合、都道府県別に見ると、
国庫負担金の配分との比較において地域間格差が生ずるおそれがあると、従来
から主張してきた。3兆円の税源移譲についても、おそらく同様の問題が生じ
ると思われる。今後、地方交付税改革が予想される中で、その総額が圧縮され
る可能性が極めて高く、このような地域間格差が、交付税で十分対応できるの
かという問題については、依然として疑念が残ると考える。」
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□□□12/8(木)第53回中央教育審議会総会について□□□
◆ 会議の冒頭、馳副大臣、有村政務官からのあいさつ後に、玉井官房長から、
11月30日に政府・与党で合意された「三位一体の改革について」の説明
がありました。この中では、今回の政府・与党合意において、義務教育費国
庫負担金の国庫負担の割合が1/3とされたことについて、現行の1/2の
国庫負担制度を維持すべきとした答申(「新しい時代の義務教育を創造する」)
通りにならなかったことは、審議いただいた委員のご尽力に応えられず残念
である。しかし、「義務教育費国庫負担制度を堅持する」との文言が入った
ことについて御理解いただきたい旨説明しました。
◆ この報告を受けて、委員から以下のような意見が出されました。
○政府・与党合意の結論は、子どもたちがどうあるべきかについて考えてい
ない。また、1/2の国庫負担制度堅持について署名したPTAをはじめ
とする全国637万人の民意が無視された。
○中教審で国庫負担の割合を1/3とする意見は、一度も出なかった。
全額国庫負担にすべきだという意見もあった。今後、なんらかの形で訴え
ていくことが必要。また、1/3とした後、地方で義務教育費がきちんと
確保されるのかを示してほしい。
○義務教育特別部会では、単なる数字あわせではなく教育論でやるべきとの
理解で、十分な教育論をつくして1/2とする答申を出した。にもかかわ
らず、今回は1ヶ月足らずで、具体的な議論がわからないまま1/2から
1/3とされた。いったい、国は中教審の存在をどう考えているのか。
◆ また、以下のような質問も出されました。
○政府・与党合意にある「今後、与党において、義務教育や高等学校教育等
の在り方、国、都道府県、市町村の役割について引き続き検討する」とは
どういうことか。
○経済財政諮問会議で機関決定された総人件費改革基本指針において、自然
減を上回る教職員の純減を確保するというが、国庫負担率が1/3とされ、
人確法が廃止されるような状況になれば、そもそも教員の担い手がいなく
なる。今後20年、30年先を見越した議論をすべきではないか。
◆ これらの質問に対して、銭谷初等中等教育局長は、以下のように回答しま
した。
○今回の内容は1/3以下に負担率を下げない恒久的措置と理解している。
また、与党における検討については、与党内で全額国庫負担こそ望ましい
との意見もあるため、今後、国、都道府県、市町村の役割についても、あ
わせて議論するという内容である。
○30人学級や少人数学級が求められている中で、教職員の純減は、その実
現を困難にするものであり、教育条件の悪化にならないように取り組んで
いきたい。
◆ 続いて、11月14日に経済財政諮問会議において機関決定された「総人
件費改革基本指針」について、銭谷初等中等教育局長より以下のとおり説明
がありました。
○地方公務員の純減目標において「特に人員の多い教職員については、児童
・生徒の減少に伴う自然減を上回る純減を確保するよう検討する」とされ
たが、現場の実態を踏まえたものとは思えず、また、教職員について特筆
している理由が見当たらない。
○「給与制度改革等」の中で、教職員の給与に関し、「義務教育職員の人材
確保の観点から給与の優位性を定めた人材確保法について、廃止も含めた
見直しを検討する」とされたが、実態として人材確保法に基づく教職員給
与の優位性はわずかなものにすぎない。教員に複雑多様で対応困難な問題
への対応が求められるようになっている中、人確法の趣旨は重要であり今
後も維持すべきである。
○今後、文科省は公務員改革について政府の一員として真摯に取り組んでい
くが、財政論のみの話でなく、教育論を踏まえ、しっかり臨んでいきたい。
◆ その後、「今後の教員養成・免許制度の在り方について」(中間報告案)
審議が行われ、了承されました。
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/05120801.pdf
この答申は、昨年10月の諮問以来、教員が広く国民や社会から尊敬と信
頼を得られる存在となるため、
(1)大学の教職課程を、教員として最小限必要な資質能力を確実に身に付け
させるものに改革する
(2)教員免許状を、教職生活の全体を通じて、教員として最小限必要な資質
能力を確実に保証するものに改革する
という方向で検討され、中間報告としてまとめられたものです。
本中間報告では具体的な方策として、教職課程の質的水準の向上、「教職
大学院」制度の創設、教員免許更新制の導入等の提言がなされております。
なお、12月9日~1月10日の期間において、本中間報告について意見
募集を行います。
http://www.mext.go.jp/b_menu/public/2005/05120801.htm(詳細はこちら)
◆ また、「特別支援教育を推進するための制度の在り方について」(答申)
(案)が提出され、審議後、答申としてとりまとめられました。これは、平
成16年2月24日、中央教育審議会初等中等教育分科会の下に特別支援教
育特別委員会が設置され、特別支援教育を推進するための制度の在り方につ
いて検討されてきた内容がまとめられたものです。
本答申では、障害のある児童生徒等一人一人のニーズに応じた適切な指導
及び必要な支援を行うため、以下の点を含め、様々な提言がなされておりま
す。
(1)児童生徒等の障害の重度・重複化を踏まえた盲・聾・養護学校制度から
特別支援学校制度への一本化
(2)小中学校におけるLD(学習障害)・ADHD(注意欠陥/多動性障害)
等を含めた障害のある児童生徒に対する指導及び支援を充実させるため
の制度的見直し
(3)特別支援教育の専門性を支える教員免許状の在り方等についての提言
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/05120801/all.pdf
◆ その後、公務のため途中より出席していた小坂大臣に対し、鳥居会長が「
特別支援教育を推進するための制度の在り方について」(答申)と「今後の
教員養成・免許制度の在り方について」(中間報告)を手交しました。それ
を受けて大臣が以下のようにあいさつしました。
まず、広島市及び今市市における大変痛ましい事件について、犠牲となら
れました被害者の方に対し、心からの御冥福をお祈りするとともに、御遺族
に対して心からの哀悼の意を表明しました。また、二度とこのようなことが
起こらないよう、関係機関と協議しながら、学校や通学路における安全対策
を一層推進してまいりたいと発言しました。
その後、教育基本法の改正について、新しい時代にふさわしい教育の基本
理念を明確にするため、中教審答申や与党の議論を踏まえ、国民的議論を深
めつつ、速やかな改正を目指したいと述べました。
つづいて、11月30日の政府・与党合意で義務教育費国庫負担金の国の
負担割合(現行1/2)が1/3とされたことについて説明がありました。
大臣からは、まず、100時間を超える審議の結果、答申をお出し頂いた委
員の方へ感謝を申し上げた後に次のような説明をし、御理解と今後の御協力
を求めました。
(1)中教審答申とともに政府の一員として三位一体の改革の趣旨を踏まえな
ければいけない状況の中、義務教育費国庫負担制度を堅持するという政
府・与党の基本方針が明らかにされることを前提に苦渋の決断として受
け入れたこと、
(2)現行の1/2の国庫負担制度は今後も維持されるべきとした答申通りで
はないが、「義務教育費国庫負担制度を堅持する」と明記された点は重
要と考えること、
(3)1/3という負担率は、さらに削減されることのない恒久的な意味合い
を持つものと理解していると述べました。
そして、提出された「今後の教員養成・免許制度の在り方について」(中
間報告)を受け、教員に対する揺るぎない信頼を確立する喫緊の重要課題で
あり、当中間報告には、そのための重要な方向性が示されていると述べまし
た。また、「特別支援教育を推進するための制度の在り方について」(答申)
を受けて、文部科学省として国民の理解を得られるように努め、必要な制度
の見直しに取り組みたい、と述べました。
◆ 最後に、木村初等中等教育分科会長・教育課程部会長から、教育課程部会
の審議状況について説明がありました。中央教育審議会では、去る10月
26日の「新しい時代の義務教育を創造する(答申)」において教育内容の
改善についても基本的な考え方を示していますが、教育課程部会では、この
答申を踏まえつつ、学習指導要領の見直しについてさらに審議を深め、議論
を整理することとしています。
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