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中教審総会第52回(概要)

中央教育審議会 総会(第52回)概要
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/gijiroku/001/05102601/006.htm

日時:10月26日(水曜日)14時~17時7分
答申案について

鳥居会長: 義務教育特別部会の答申案について審議いただく。

A: 地方六団体の代表の3人は、特別部会に参加して以降「義務教育費国庫負担金を税源移譲し、一般財源化すべき」と強く主張してきたが、答申案に地方案が取り入れられていない。多数決もきわめて異例であり、地方六団体の意見は圧殺された。基本的考えを修正意見としてまとめた。【地方六団体意見の説明】

B: これまで何人も「国の責任と負担金は関係ない」と述べている。国庫負担の問題は、財源の付け替えにすぎないのに「国の責任で堅持すべき」というのはおかしい。「地方六団体の考えは尊重されている」というのは間違い。交付税への意図的な攻撃がある一方で、国庫負担は確実というのはおかしい。財政審でも指摘されている。義務教育を何が何でも国が行うというのは世界的にもおかしい。科学技術行政こそ国が行うべき。「義務教育の機会均等は国の存立に関わる」というが、国際的には義務教育が十分達成できていない国は、立派な独立国にいくらでもある。地方六団体の意見を封殺して改革案を生かす方策を検討せずに、多数決というのはまことに不公平。最初の時に、バナナの洗浄のことを話したが、最後にミカンについて。伊予柑を給食に出そうとしても「皮を3度洗わないといけない」という文科省の通達が出ていた。それを嘆いたのが文科省出身の愛媛県知事。

C: バナナやミカンの洗浄について文科省が指導していないと思う。

B: 以前の審議で吾妻委員が「洗っている」と言っていた。

事務局: 給食について、かつて0157の問題があり、野菜の衛生管理が問題となり食中毒が生じないように気を使うとしたことはある。

D: 国の指導があるから仕方なくではなく、みずから積極的にやっているという意味で述べた。教育の本論的な意見で議論してほしい。

E: 地方六団体の意見は、特別部会で再三議論されたもの。同じ議論を蒸し返すのは総会の性格からして避けるべき。財政審で教職員給与が取り上げられたことについて発言があったが、財政審の議論に振り回されるのはいかがか。

F: 前回も増田委員に苦言を呈した。ミカンの皮について「通達で縛られている」と言うが、分権改革以後、通達には効力がない。単に無視すればいい。地方六団体代表の3人の意見はさんざん議論した。地方財政のシステムで、もっとも優先されてきたのは教育ではなくハード事業。平成16年の交付税の削減について、総務省に「適切な対応だったのか」と聞いたら返事ができなかった。そうしたことはいくらでもある。

G: 特別部会で採択された答申案を中教審答申とすることに賛成。構造改革・地方分権改革に適う積極的提言の必要があったのは不幸な状況である。やらなくてもいい改革案が含まれている。それについては、それぞれの部会で検討されており、適切な提言を出していただけるようお願いしたい。

H: 「なぜ義務教育費なのか」たびたび質問を受けた。8500億の中学校の給与分を地方に移しても地方は十分やれると自信がある。もし義務教育費でなくても、他に税源移譲の財源があるなら教えてほしい。なぜ今ごろ耐震化が出てくるのか。なぜ前からやらなかったのか。施設整備については地方に一般財源化した方が効率的で、耐震化も進むのではないか。教育委員会はわたしのところではいらない。

F: 地方六団体が3兆円強のリストを出して取り上げられたのは義務教育費国庫負担金だけ。リストに含まれていない国民健康保険などが入った。リストから義務教育費国庫負担金を除いたものに、一般財源化すべきものがある。リストを作ったときに都道府県分の公共事業はリストは入れたが、市町村分は入れなかった。それが実態。

(H:うそいったらいかんよ。)

I: 「6団体の意見が圧殺」と言うが、地方六団体は元気よく発言しており圧殺されていない。民主的な話し合いの中で審議が進んでいるのを理解してほしい。国が、義務教育の根幹として維持すべき。教育行政の上意下達はあったかもしれないが、学校の裁量をどう増やすかについて議論してきた。答申に書いていることを理解していただきたい。日本の教育費支出は、GDP比で2.7パーセントにとどまっており増やすべき。

J: 地方六団体の改革案には、わたしども委員は真摯に検討して「対応できない」という形で言ってきた。地方六団体が「地方案への配慮がない、多数決で行うのは好ましくない」というのは、「そうではない」と申し上げる。地方六団体の意見を総意として答申の総論に書けという話だが、総意に値しなかったと確認したい。義務教育の国家的な対応がなくて、その先にある科学技術のみ国が行うのは少し問題があろう。教育委員会制度について、一つの自治体で教育委員会がいらないんだというので反論するなら暴論。

C: 特別部会で何度議論をしても大きなすれ違いが解消されていない。地方六団体の主張について、義務教育費国庫負担金の削減廃止で義務教育がどうよくなるのかが大きな論点だった。削減・廃止して一般財源化することと、自由度の拡大や教育の改革は無関係である。地方六団体から具体的な反論はされず、地域住民とか教職員の意識改革と言うばかりだった。私を含めて、教育行政の分権化に否定的な人はいない。地方の裁量を、どうやって高めるか具体的な検討を真摯にしたのが答申案になった。

D: 石井委員の再度の修正に応じることなく答申案の通り決定してほしい。地方六団体のいうところの教育の自由度と一般財源化は直接関係ないこと、したがって、国庫負担という安定した財源のもとで改革をしていくということが立証されている。山本委員は、日本の義務教育をどうするかよりも、8500億や2.5兆をどうするかに関心があるのだろう。答申をゆるぎないものとして提出すれば、思いは官邸にも届く。

K: 日本は教育にお金を使っていない。OECDの比較でも明確。教育は将来の投資なので将来につけがまわる。山本委員のように「何か案があるか」というなら、これまでの削減対象は子ども関係予算ばかり。老人をとるのか子どもをとるのか議論したらしい。

L: 税源移譲で一人勝ちする東京都の職員だが、それでも国庫負担堅持を主張するのは、国家論的見地から教育費の大半を占める教職員人件費を不安定にしてはならないから。税源移譲して、若干自由が高まるとしても、安定財源がある方がいい。本当は全額国庫負担が意見だが、それは困難だろうから、堅持という答申に賛成。

H: この委員会は、地方六団体の発言を全部批評している。学校の義務教育という神聖な議論をする場で非常に残念。「地方がやったらああだこうだ」と言うのは悪口。わたしは今日で委員を辞める。

M: 論点を変える。小学校段階の英語教育の重要性。国はすごくお金をかけないといけない。「変革の時代であり、混迷の時代であり、国際競争の時代」というのは大賛成であり、これこそグローバルが必要。文科省もドメスティックであり、まったくグローバル化に対応できていない。答申とりまとめの手続きについては、今日の読売で森田教授が、審議会のあり方について説得的な意見を述べている。義務教育費国庫負担金については、多くの意見に賛成するが、教育は地方の時代と認識する。

N: 答申案を支持する。「地方案を生かす方策」については、総論(6)で「教職員給与の1/2国庫負担制度は優れたものであり、今後も維持されるべき」「公立学校施設も国が担うべき」となっている。各論では、教職員人事権の移譲や学級編制の移譲など具体策が書かれている。答申はしっかり実現されるべき。

O: この案に賛成。100時間以上議論してきて、ここでも議論が続いているのを最初から聞いていれば何が問題かよくわかる。全部の委員が改革すべき、よりよくすべきとしてきた。どのような状況になっても、義務教育については国が責任を持つということはわかってほしいし、報道の人もしっかり伝えていただきたい。

鳥居会長: 石井委員に確認するが、第一に今日お出しになったのは修正案として受け取っていいか。第二に、今回は前回に比べてニュアンスが少し違ってきたと思う。地方六団体の提案は、8500億ではなく、2.5兆の一般財源化か。第三に、税源移譲で国税はどうなるのか財務省から直接の説明なかった。

A: 第一は、修正を求めるものである。臨時委員でない人にも理解いただくため、今回は総論的に修正を求めている。第二に、我々のニュアンスは違っていない。全体としては2.5兆であり、まず8500億をお願いしたい。税源移譲は、国税から減税して、地方税を同じ金額を移譲するもの。国庫負担制度と地方の自由は無関係ということについて、財源面を通じた権限があり、束縛があり、取っ払っていただければ自由度は拡大。「総額裁量制をすればいい」というのは、地方の言うとおりにやるなら思い切って我々に任してもらうのと変わらない。米百俵も地方分権そのものである。高齢者対策を外しているのは、社会制度改革全体が議論されており、方向性が明確になっていないため。会長に質問だが、今回の枠に書いてあるものが結論だと思う。我々の言ったことが枠内に書かれていない。「地方案を活かす」ことが入っていると考えているのか。

鳥居会長: 審議経過報告は両論を述べるように書いた。答申素案には書かれていないと言うことで、議論があって、第2部に入れたという経緯がある。

A: 枠の中には地方案を活かすのは入っていない?

鳥居会長: 入っていない。補足するが、枠内では、教育の地方分権は十分考慮して、そちらが大事と書いたつもり。石井委員は「地方負担への移譲だけが地方案」と言ったが、それは入っていない。

P: 国力は人材である。世界は、教育に力を入れている。義務教育のお金は増やしてほしい。国による目標設定、現場の自由裁量で地方が元気にやっていくのは望まれる。地方六団体の意見は書いてあるので、この答申案に賛成。

Q: 答申案に賛成。義務教育の構造改革で現場にとっても大きな改革であり、あわせて、基盤整備を国が責任を持つのは大事。なぜ義務教育費国庫負担制度が狙われたのかよくわからない。地方の意見も十分に審議した。少数意見も尊重されるべきだが、多数意見はもっと尊重されるべき。

R: 100時間を超える議論をしてきた。地方六団体選出の委員もたっぷり聞いた。どうしても現場を預かる校長として不安を払拭できない。お金はきちんと国が保障して義務教育は安定して提供されるべきという思いを新たにした。北海道で人件費が削減されるという報道がなされた。人件費は狙われやすい。

S: 日本が厳しい状況におかれているからこそ、生き生きと輝いた姿になれるようにすべき。鳥居会長がいろいろな考えを根気よくまとめられた。答申を支持する。

T: もう少し義務教育の内容についてお話があるかと思ったが、お金の話が多かった。もう少し教育の内容が話されるべきだったと思うが、終局的に原案に賛成する。

U: 基本的には答申案に賛成。小さな政府や「官から民へ」は大賛成だが、産業と教育は違う。教育は政治の取引の材料としてはいけない。いくつか懸念もあるが、おおむね答申案に賛成。

V: 原案に賛成。子どもたちが安定した気持ちで教育を受けられるようにしないといけない。今日の議論を子どもたちが聞いたらどう思うか。「1/2」ということだが、行政改革は減らすだけでなく、従来と同じなのが物足りないくらい。

W: 原案に賛成。残念なのは、地方六団体の意見をめぐる意見が大きかったため、内容についての議論が十分できなかった。財源移譲することでどう変わるのかが地方六団体の主張に入っていなかった。地方でいろいろな取り組みが始まっており、芽が出始めているが、これが国庫負担の財源に関わるとは思えない。

X: 大変な努力の上に答申案がでた。賛成。次代を担う子どもたちが、将来、少ない人数で国の方向を決めていくにはこれまで以上に一人一人に力をつけないといけない。狭い日本でどこでも平等に行われるのが大切ではないか。国の姿勢を示す保障として国庫負担も重要。

Y: 答申案に賛成。日頃から義務教育を保障する基盤となる健康・安心・安全について研究しているが、公立学校の施設整備が書かれている。耐震化は調査だけでもお金がかかる。国が責任を持たないとなかなかできない。

とりまとめについて

鳥居会長: 予定を30分超過しており、退席者が増える可能性があるのでとりまとめたい。地方六団体から修正案が出ているという考えでいいか。本意ではないが修正案をお受けするかお諮りして、その上で原案を・・・。

M: 採決するのですか。意見としてうかがったが議決するのはなじまない。修正意見を聞いたと言うことでそれでいいのではないか。

鳥居会長: 提出した人が「修正案だ」と言っている。

M: 修正案の動議として受けとめていない。

鳥居会長: 心配はわかるが、修正案をお受けするかどうか諮らざるを得ない。

M: 地方六団体の案は、この答申に変わるものとはなっていない。

鳥居会長: 特別部会の100時間の議論で、語り尽くさせた結果がこの修正案じゃないのですか。

A: そういうことで結構。

鳥居会長: 総意として「答申としていいですか」と諮りたいが、できそうもない。

M: 地方六団体の意見は、修正案として可決されても、代替するものになっていない。

鳥居会長: 書いた人に向かって言ってほしい。

Z: 中嶋委員と同じ見解。特に総会なので採決はなじまない。今日はこれだけの委員が述べたので採決しなくても結果は認識されている。

鳥居会長: 結局修正案が出ているのでその取り扱いは決めないといけない。

O: 前回の審議会でも「採決をとるのは不本意」という人は何人かいた。石井委員は「採決は不本意である」と新聞で発言していて愕然とした。最後の最後まで採決はなじまないとあったが、がんとして反対なので、あえて石井委員は「採決してくれ」ということだった。審議会で、鳥居会長が採決をとるのが流れになったら残念。石井知事は採決をとりたいということか。

AA: この問題は、答申案の内容に対して政治的判断を加えるべきかどうか。内閣のどこかで別の場を設けてそこで議論すべき。ここは、地方六団体の修正案については「大勢としてやむなし」ということで飲んでいただくことを提案する。

E: 今の意見に反対。政府与党合意で「秋までに中教審で結論を得る」とはっきり書かれている以上、答申は政府で尊重するとなっており、まとめなければ見識を疑われる。

I: クールに考えたらいい。総意ですか、とみんなに聞いて挙手か拍手がないと議事の処理上困るだろう。

G: 内容は違うが、クールに手続きを進めればいい。見城委員のとおり、今回の地方六団体の意見は修正案の体裁をとっていないが、「修正案を検討してほしい」という動議として出されたならそうすればいい。意見の大勢は明確になっており、加藤委員が言われたとおり、会長の状況判断で今日の答申を採択したいとして、特に異議がなければそれで決まりだと思う。

O: 動議というなら石井委員からうかがって議事録に残すべき。そうでないと何を審議してきたのか、最後は多数決かと受け止められるのは心外。

AA: 井上委員は誤解。「これを大勢として飲んでいただけませんか」というのが、石井委員へのお願い。

D: 見城委員と同じ認識。自分は「議論を尽くした以上は多数決」と意見を述べたが、「決を採れ」といったのは石井委員と増田委員。報道で会長が強引に決を採ったとされているのは間違い。

B: それは間違い。私は、各人に意見表明をすべきと言った。

J: 問題は日本人の曖昧性。「大勢」とか「総意」では外国人にはわからない。石井委員がいう以上は賛否をとってしっかりした答申としてほしい。

A: 吾妻委員の意見はでたらめ。「多数決で」とは言っていない。修正願いたい。前回の特別部会で、詳細に文書で意見を出した。今回は総会での時間の制約もあるので、こうまとめた。地方六団体の委員は、原案には反対。その意思表示をはっきりしたい。

AA: 今の意見ならば、どこかに反対と記せばいい。たとえば議事録の最後に名前を出してもいい。いろいろな形はある。採決に対して反対の人もあり、その人も名前を記すというのはある。

鳥居会長: 「採決しないで(やりたい)」というのは本来の思い。採決すると新聞に「横暴」と書かれる可能性があるのは覚悟の上で。そうじゃないことはプレスの人も理解すると思うので、万やむを得ず。

G: 明確に動議として出されているなら採決するしかない。

L: 中教審は合議体なので、決めるときに採決しないでどう決めるのか。横暴と言うこと自体おかしい。合議体である。会長に採決することを求める。

鳥居会長: 賛成の方と反対の人の確認のために採決としたい。

M: 修正案を採決?

鳥居会長: 修正案を採決して、答申案について採決する。

M: 中教審で、多数決というのはなじまない。政府の審議会のあり方にかかわる。多数決でまとめるのは問題がある。こういう形で採決に当面したのははじめて。総会委員と臨時委員の合同で採決することに法的問題がないか確認したい。

事務局: (審議会令8条読み上げ)

鳥居会長: 中嶋委員の意見はわかるが、そのような意見をお持ちだった方は前回棄権された。わたしとしては、この修正案と原案の賛否を確認したい。修正案に賛成の挙手をお願いします。反対の人は挙手を求めます。

事務局: 出席は会長を除いて27人。賛成3人、反対21人、棄権3人。

鳥居会長: 答申案賛成の人、挙手を求めます。反対の人。

事務局: 原案賛成22人、反対3人。

鳥居会長: 答申案を答申とさせていただいた。長い間のご議論に感謝申し上げる。

(了)


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