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義務教育特別部会における費用負担の議論を振り返って

第52回の中教審総会での小川委員提出資料です。
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/gijiroku/001/05102601/004.pdf

1.教育(行政)の分権改革の推進・実現とは直接に関係のない義務教育費国庫負担金を削減・廃止の対象とし、地方の教育権限の拡大や教育(行政)の分権改革推進を理由にその一般財源化を主張するのは合理性がない
 地方六団体委員は、義務教育費国庫負担金の一般財源化の効果として「教育の自由度の拡大」と「教育改革の推進」を主張してきた。
 私からは、そうした主張の矛盾・問題点(とりわけ、地方六団体の指摘する事例は、国庫負担制度とは関係のないものであること)を述べた(第16・17回特別部会の参考資料2)。
 しかしながら、地方六団体からは、それに対しては具体的な反論・見解がまったく出されず、地域住民や教職員の「意識改革」が促されるとする同じ主張が繰り返されるばかりであった。これが特別部会の議論をすれ違いにしてきた主要な原因であったと考える。
 前回の特別部会においても、地方六団体委員は、文部科学省主導による教育制度の問題点を縷々指摘していたが、国庫負担制度がある(=教職員の給与の1/2を国が負担する)ことで、地方による独自な教育のための創意工夫が妨げられているという主張には根拠や論理性がないことは、これまでの議論を通じて明らかになっている。

2.特別部会は、教育委員会制度のあり方、市町村の権限拡大(人事権、学級編制権)など、教育行政について具体的に議論して答申案をまとめた
 委員の中で、教育(行政)の分権化に否定的な者はいないと考えている。
 その上で、多くの委員は、「義務教育費国庫負担金を廃止しても、教職員配置などの具体的な裁量は高まらない」ことを踏まえて、どのようにして市町村・学校の権限と裁量の拡大を実現するか―その具体的な法制度の改正やその運用の見直し等を真摯に議論してきた。その課題の整理とそれらの実証的な検証作業の積み重ねが、今回の答申案の内容となったと確信している。
 一方、地方六団体委員の主張は「国庫負担金の削減(・廃止)につながらないような」答申案は、教育(行政)の分権化推進や市町村・学校の裁量拡大等の見直しを図ることを謳っても、地方六団体の地方案の理念に沿ったものではないというものであった(第38回特別部会)。これでは、地方六団体委員は教育(行政)の分権改革をどう進めるかには関心がなく、「8500億円」という数字ありきの主張をしていたのかと思わざるを得ない。


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